3年前の自分と今の自分を比べてみる
こんばんわ。糸島移住マンガ家のつのだふむです。
今、深夜1時なのですが、屋根の上を謎のケモノが走り回っています。
それで眠気が飛び、なんとか書いてます。
さて。。ここは、
マンガ家である僕が色々と創作の裏側や日常や記録を振り返っていく場所。
僕のこれまでは、
こちらのnoteをザクっと読んでもらえると!▼
https://note.tsunodafumm.com/n/n33718aeb846e
今日は来る11月5日の「コルクフェス」に向けて、
3年前くらい前の自分と、今の自分を比べてみる特別編noteを書くことにしました。
http://corkstudiofestival221105.peatix.com/
(僕もコルクスタジオのマンガ家として、登壇します!)
では、振り返りスタート!
ーーーーーー
2020年の4月、「りさこのルール」という僕のデビュー作がLINEマンガで連載開始。
こちらは、僕が描き下ろした、LINEマンガのトップに表示されるバナー画像です。▼
この画像によって、恐ろしいほどクリック率が低いという事態になりました。
その低さは、思わず佐渡島さんが僕に電話をかけてくるほどだ。
今自分が見て思うのは、絵の巧拙うんぬん以前に、
意図が全然込められてなくて、何が伝えたい絵なのか?がとても弱いなということ。
キャラをこんなに出して、一人はでかくて、まだマンガを読んでもない人にどう伝わるのか考えてる?という。
僕が今回、主に振り返っていきたい軸は、
絵や演出に込められた意図や伝えたいことがどれだけあるか、
その狙いがどれだけ上手くいってるか、
という意識の変化。(が、あるのかどうか?…)
ちなみにこれは、連載開始当時の僕のnote。▼
意気込みはわかるが、ちょっときついな。これも、連載開始前の作者の文章が、どう伝わるかちゃんと考えてる?という点が疑問で、バナーと同じ問題が起きてるように感じる。
客観性がないんだな。
とはいえ、当時の僕の正直な気持ちなので、痛みとともに抱きしめてあげよう。
当時のnote。これまた痛い部分があるが、色んなことを記録していってる自分を抱きしめてあげよう。▼
少し時を遡って、「りさこのルール」連載に至る前の初稿ネームを見てみる。
これを読んだ佐渡島さんが、連載に向けて動き始めた。▼
超ひさしぶりに読んで思ったのが、
間とかリズムとか、空気感とか、世界観みたいなものが全く描かれていない。
自分の頭の中でそれを補完して描いてて、伝えようともしていない。
マンガに必要な要素への理解が相当低いと思う。
ネームとはいえ、ネームにもそれが描かれていなければならないと今の僕は思っている。
とはいえ、これ以前までに僕が描いていたマンガとは違い、キャラクターと関係を始めて描こうとしている物語の兆しがあるから、佐渡島さんが動いたのだなとも感じたな。抱きしめてあげよう。
連載開始時の絵。▼
連載後半の絵。▼
ほんの僅かだが、込めようとする演出意図の変化は感じた。
どちらも夜のシーンだけど、最初の頃は背景を暗くしているだけで、人物の色はどんな場面でも変えていなかった。
後半は、夜ならば夜の肌の色に変えている。
そしてこのシーンは特別なりさことの対話シーンだから、夜だけれど幻想的な月明かりにしたいという意図はあった。
、、、とはいえ、この一連のシーンも、その程度の意図しか込められておらず、超勿体無い。
今だったら、顔ばかりではなくて風景を使ったり、ロングショットを使ったりとか、色んなやり方で、二人の会話と感情をどう伝えるかを考えるはずだ。
そもそも、どんな感情なのかも、もっと掘り下げなくてはならない。
一コマの中に込められる情報の量への意識が低い。だけど、連載を通しての僅かながらの前進を、抱きしめてあげる。
ちなみに、連載終了後、僕はしっかりと振り返りを書いていた。▼
ただ、この振り返りに関しても、今の僕は「喝」である。
「タテスクマンガ」としてどうだったか、という怪しげな振り返りをしている。
「タテスク演出をもっとこうできた」「ここのタテスク演出は良かった」
という表面的な振り返りに終始している。
もっと根本的な、伝えたいことの深さ、シーンの狙い、それを伝わってるのか、どのくらい上手くいってるか、ということについて全く言及がない。
これは1年前のノート。
1年前の11月といえば、2つ目の連載「REACH-無限の起業家-」の連載も終わった頃である。
なるほど、2本やっても、僕はまだまだマンガを理解していないようだ!
しかしながら、全くめげることなく、2本も最終回を描き切っている。
これは抱きしめてあげなきゃ。
「りさこのルール」と同時にやってた「美人一年」。
365日、朝7時に欠かさずTwitterに美人画を投稿。完走した。▼
これも今思えば、描線の上達云々の前に、どんな女性を、どんなふうに、なぜ描くのか、、、といった、意図や狙い、こう伝えたい、みたいなもの、ほぼなかった。そこに思い至らないで、何枚描いても、変わっていかない。
師匠に指摘された「40歳以上の人いないのなんで?」という一言と、そんなことを思いもしなかった自分。それが、全てを内包しているなと、今気がついた。
「りさこのルール」連載前に遊びで作っていた「すこしふしぎ動画」。▼
実は、意図や狙い、こう伝えたいという観点でみると、このシリーズの方がまだ明確だったりする。
「驚かせたい」「そのためにはどう演出するか」というのを必然的にやる前提なのが、この動画だった。本当は、マンガも常にそうなのに。
でも、僕には驚かせたいマインドがあるっていうことに偽りがないことを、これを勝手に作っていた当時の僕が証明している。抱きしめたい。
「REACH-無限の起業家-」連載終了直後のnote。▼
ここで描かれている、構成への反省点など、その通りではある。
が、やっぱりそれもギミックの話としてしか理解していないように感じるな。
加藤崇という男を、どのように描きたかったのか。
それをどう伝えようとしたのか。
そこをもっと深く考え続けていたら、ストーリーも違うふうに演出されていって、単調な話にはならなかったんじゃないか。
さらに一番大切なことが抜けている。
この作品は始めてチーム制作で挑んだ作品ということだ。
作画のホリプーに、一体自分はどんなネームを渡していたか?
ホリプーにしっかりと伝えようとしたか?
伝えられるくらい、全コマに意図があるか確認できていたか?
なぜ、ホリプーが描く絵が自分の意図とずれたのか?
お前自身に対した意図がなかったのではないか、、、、
この辺にしておこう。
後からはなんとでも言える。当時は誠意いっぱい加藤さんに向き合ったはずだし、限られた時間の中で粘った。抱きしめる。
2022年1月からツイッターで連載開始した「ブランディングマン」。▼
このマンガは「どんな情報を伝えるか」については明快なんだけど、その「情報」というのが「ブランディング」についての理論に終始しがちで、
マンガにおける「情報」のほんの一部しか意識できていなくて、ブランディングの情報としてはわかりやすいけれど、マンガ作品として面白いものになりきれずにいると感じていた。
でも、このマンガを描き続けてきた僕は、今年の後半に入って、僕は自分がどのような作家になっていくのか、光の筋が見えてきて、その実感と共に、マンガの演出、伝え方の方にも少しずつ変化があるように感じた。
今回の振り返りで、その自分について見えてきたことの話までするのは広がり過ぎてしまうので、割愛。
それについて触れた日記はこちらにあります。▼
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過去を振り返りながら、「できてない」と連呼してきた。
じゃあ、今はどれだけ変化しているか?
正直、、、
つい先月くらいに、ほんの一歩進めたかもしれない、くらいの感じでしかない。
それでも、その一歩は小さくないかもしれないから、ここに記録しておこう。
僕は「REACH-無限の起業家-」以降、チーム制作をし続けていて、今2本同時に動いている。
僕はネームを担当する。作画や、カラーリング、編集チーム、原作者たちと共に、そのコマにどんな意図や狙いがあるのか、明確にしたり、目線の違いを擦り合わせたり。
作画担当のサエグサケイに、演出意図を伝えたり、議論したり。
一緒にネームを描くやじまけんじと、同じシーンをそれぞれ描いてみて、
お互いの狙いや意図の違いを比較して吸収しあったり、客観的に自分の弱点を知ったり。
さらにカラーリングや演出の観点から、ネームを監修してくれるチームに毎週的確な客観的意見やアイディアをもらったり。
この半年は、日々そういうことをやっていく中で、
自分の中で「ネーム」に向かう意識が少しずつ変わってきたかもな、と思う。
例えば。そのコマで伝えたい細かい感情が、伝わるようになるまで表情を描きなおしたり、これまではしなかった。
チーム制作で、作画担当が違うこととか、原作者がいることが、そこの僕の意識を引き上げている。
あと、「どんな状況のどこにいるのか」「その情報と共に伝えたい世界観はどんなか」ということも意識した画作りをし始めたのも、これまでの僕には足りなかったことだ。▼
絵の一発で掴もう、ネームだとて、、、という意識も、以前よりはあるのかもしれない。
これらは、「チーム制作」で大勢とコミュニケーションするという状況のおかげだ。
一緒にマンガを作る仲間とも、
マンガの中のキャラクターたちやその世界とも、
膨大なコミュニケーションをとること、とろうとすることが、
面白いマンガを作るための第一歩かもしれないな、と思う。
というわけで、このへんで、この3年くらいの振り返り特別編をここで終わりにします。
最後まで読んでくれてありがとう!
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出会いをぜんぶマンガにする、インサイド・ストーリー
出会いをぜんぶ、マンガにする。 自分の生活と、どんな出来事も味わい、マンガにしていくマンガ家の日々の日記と、移住した糸島での暮らしを描いた…
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