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週刊楽屋ばなし14ー正月ボケをぶっ飛ばせー

今日は、まず今週のトピック。
Twitterに投稿した僕の作品「クラウドマンーさわれぬ日々ー」がとても読まれている!▼


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これは、
先月の岸田奈美さんのnote「全財産を使って外車買ったら、えらいことになった岸田奈美」をマンガ化した時依頼の伸び方。

(▼こちら、note限定タテスクバージョン)



僕は、作りたい作品を作ってきた。なんの制限もなく、自由に作ったものを、こうしてたくさんの人に楽しんでもらえて、幸せである。

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(「触りたいのに触れない」というテーマが何かにリンクしたのかな)

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ここからは、お正月に見たある映画の感想。

ピクサーの最新作「ソウルフルワールド」。

「今この時代」をピクサーがどのように捉え、そしてどのような提案をしようとしているのか、というお手本のような作品だった。

雑に観ても、楽しめる緩急のある物語であり、丁寧に観て深く考察し、「自分は共感する」「自分は腹がたった」とか、テーマを議論するにも耐えうる豊かさも併せ持つ、、、、

世界トップのスタジオ・ピクサー、またかましてきたね。

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ここからは、ネタバレをしながら感想を書くので、まだ未見で、ネタバレ厳禁の方は読まないでおいてください。基本的に、すでに観た人に話す感じで書きます。あんま長くなんないように、一番思ったことだけ書く!





この映画は、夢が叶う直前で死んでしまった男が、死を受け入れられずに「あの世への道」を逆走し、なぜか「これから新しく生まれ落ちる魂」たちがいる場所に迷い込む。
そこで反抗期ソウルとバディを組み、どうにかシステムを上手く誤魔化して、この世への帰還を試みる話だ。

すごくバカみたいな設定だが、これを映像で超面白く、かわいく、そして凄まじい映像体験として魅せてくるピクサー。

ものは語りよう、の究極がピクサーなのだ。

そしてこのストーリーで何が言いたいのか?ということが、ピクサーはとてもシンプルに強いのだ。


「主人公が異世界を経て日常に戻り成長する」という超王道の物語の型だけど、
この物語でピクサーが提案してきたのは「成長」のあり方だ。

これは、だらしなかったやつが、ちゃんとする物語ではない。
夢や希望を持てなかったやつが、持てるようになる物語でもない。
そして、なんと、叶えたい夢を叶える物語でもないのだ、、、!

だってこの話、
「一途に夢を追っている音楽の才能がある先生が、冒頭で夢が叶う」
ところから始まるのです。
上記三つをすでに満たしている。

だから異世界の冒険を経て、冒頭ですでに叶った夢を再びゲットすること自体は、あんまりカタルシスにならないんだよね。

じゃあ、何が描かれるのか?となりますよね、、、。

僕は「このことをはっきり提言してきた映画って、他にパッと浮かばないな」と思いました。

最近のアメリカ映画で言うと「マンチェスター・バイ・ザ・シー」という映画が「辛すぎる過去、2時間の映画の中で乗り越えるの無理」と言うことをはっきり伝えてきたのが衝撃ですごく感動したんだけど、それに近いものを感じた。

ソウルフルワールドでは


「夢が叶ったとか叶ってないとか、生きる意味とか、その価値観まだやる?」

っていうことを言ってきた。

夢を叶えようと頑張る日々、疲れて帰る電車、その車窓から見える夜景、憧れた音楽を聴く時間、美味しいピザ、ドーナツ、おしゃれな服、なんてことない会話、地面に寝転がって見た空、舞い散る木の葉、、、、

夢が叶うこと自体も人生の一部でしかなくて、あらゆる出来事を噛み締めて、ただ生きてゆくだけ。誰かを愛そうが愛すまいが、夢を追おうが追うまいがどちらでもいいけど、とりあえずこの世を実感しよう」

そういう禅の世界をピクサーが提案してきた、、、。

そう、

どんな日も、ただいっさいが過ぎていくだけなんだ、そんな毎日をただ生きるだけなのだ、ということ。

このシンプルなことを楽しく、やかましくなく、地味にならず、飽きさせずに伝えるために、今回のようなアクロバティックなファンタジック設定が必要なのだ。

この映画で描かれる結構ムチャな設定も、適当ではなく実は全て哲学で語られているものをアニメとして演出したんだなって思えるギリギリのラインが見える。

全ては、赤塚さんの言葉で言うなら
「これでいいのだ!」に至るラストに向かって積み上げられていくのだ。

この設定を思いついた時、爆笑して盛り上がっただろうな、と僕が感じたのが

「作家とかスポーツ選手が集中してゾーンに入った時、実はあの世と繋がっている」という設定。
主人公が、相棒となる反抗期ソウルにゾーンの正体を解説されてるシーン、超面白い。反抗期ソウルが、ゾーンに入っきた役者とかスポーツ選手に悪戯すると、現実世界の彼らが集中を乱されて失敗する、という荒唐無稽さ。。

松本人志の「しんぼる」ぽさもありつつ、脚本のアクロバティックさは全体的に「マルコヴィッチの穴」のチャーリーカウフマンを感じた。
実際、マルコヴィッチの穴のオマージュと感じるシーンもあった。

他にも、日本のアニメだと「千と千尋の神隠し」のカオナシのオマージュ、「君の名は。」の黄昏時にチャネリングするという設定のオマージュ、
「カラフル」の自分が自分に転生して生き直すというオマージュ、
アメリカ映画だと「素晴らしきかな、人生」も感じたし、他にも無数のサンプリングがされてるだろう、、、、。

「どの作品を自分なりにアップデートして作品を作るか」と言うことが重要なのでは、と言うのはコルクの作家がここ2年くらい議論しているテーマの一つなので、この無数のオマージュには改めて感銘を受けた。

天下のピクサーがここまでたくさんの作品をDJして独自の作品を作り上げているのだから、僕らももっともっと過去の作品をリスペクトしながら、明確に組み直していっていいんだよな。

ああ、長くなってしまった!!これだけは書き留めておこう、と思ったことはとりあえず書いたので、もしこのネタバレを読んでもソウルフルワールドに興味がある人は、ぜひディズニープラスに加入して、チェックしてみてね(初月無料だよ!)


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